秋田市文化創造館

レポート

昔の無音フィルム映像に音をつけてみよう!
「8mm FILM Soundワークショップ」
開催レポート

日時:2024年8月5日(月)10:30〜17:00
講師:臼井 勝さん、石山 友美さん
主催:秋田市文化創造館、共催:秋田8ミリフィルム・アンソロジー


「8mm FILM+Soundワークショップ」
竿燈まつりのお囃子とセミの鳴き声があちらこちらで聞こえる夏休み真っ只中の8月5日。
昔の無音フィルム映像「8ミリフィルム」に音をつけて編集するワークショップを、「秋田8ミリフィルム・アンソロジー」を主宰する映画監督の石山友美さんと共催事業として、学生を対象に秋田市文化創造館で開催しました。

映画や映像作品の録音や音づくりに携わる臼井勝さんを講師としてお招きし、映像における録音・整音・音響効果についてのレクチャーや、音づくりや映像編集のワークショップを実施。

参加メンバーは、中学生から大学生まで多様な年齢でしたが、ワークショップが進むにつれて和気あいあいとコミュニケーションしていました。


開催レポート

臼井さんによる音作りレクチャー

はじめに、臼井さんの自己紹介も兼ねて、音づくりのレクチャーを実施。

臼井さんが携わった映像作品を上映しながら、そこに流れる”音”に着目し、効果的な音の付け方や音での演出ポイントなど、普段さりげなく見ている映像の裏側を見せていただきました。

さりげない1コマの映像の効果音がこんなに複雑な波形で構成されているのか!と目から鱗です。


編集する8ミリフィルム映像を見てみよう!

今回は、無音の記録映像である「8ミリフィルム」の映像に音をつけるワークショップ。
編集するいくつかの動画をみんなで鑑賞。

今回セレクトした映像は下記の7つのシーン
①竿燈まつり
②草むしり
③竹馬
④文化創造館の近辺
⑤日蝕
⑥妊婦さん
⑦餅つき


音のない8ミリフィルム映像にどんな音が実際に入っているのか、このシーンにはこういう音が欲しいな、、、
などと、当時の様子や撮影した人の思いを想像しながら、音の計画を組み立てていきます。

どのような音をつけるかを各自で検討・共有
映像のシーンに合わせて、音の計画を立てる

録音機材の紹介と説明

この日は臼井さんが様々なマイクと録音機材を持ってきて、解説してくれました。

録音したい音、録音する環境などに応じて、機材を使い分けます。

狙った音だけを録音する「ガンマイク」や、雰囲気や環境音を録音したい場合は、四方の音を収録できるマイクなど、実際にどのように収録できるかヘッドフォンで収録音を聞いてみます。

マイクによって収録音の違いを確かめている様子

グループに分かれて音の収録/音をつくってみる

映像につける音を、どのように収録するかを考えます。
ベースとなる映像は「餅つき」と「月蝕」の映像を選びました。

ソウゾウカンラボの素材コーナーでも使えそうな素材をゲット!


映像のシーンを観察しながら、「餅を捏ねる音はどうやって作ろうか?」「鋸で木を切るシーンは実際に切って音を収録しよう」など、参加者メンバーでアレコレ相談しながら、音をつくる計画を立てます。

餅をつく音をどうやって作るかを試行錯誤
いろんな素材の音を聞いて、近い音を探す

映像を見ながら音をつけることを「フォーリーサウンド」※と言い、映像に最適な効果音を生み出す「フォーリーアーティスト」と呼ばれる人もいるのだとか。
「フォーリーサウンド(英: Foley)」とは、映画などのメディア作品において、生活音などの日常的な効果音を制作し、リアリティや臨場感を再現すること。

収録した音を編集する

収録した音を臼井さんがライブで編集。

ここにこの音を入れて欲しいなど、参加者からの要望を聞きながら素早い手付きで映像に音が付いていきます。


一度、音をいれた映像をみんなで鑑賞し、足りない音を追加で収録します。

映像を確認しながら、音が入るポイントやタイミングを確認

どんな会話をしてるのかな?

最後に、人の会話をアテレコして収録。

シーンごとのセリフを考える
役割分担して、いざ収録!

会話以外にも、杵を振り上げる際の息遣いや掛け声など、実際に重いものを持って収録してみたり。
映像には映っていないが聞こえている環境音なども想像し、実際に街中に出かけて収録します。


最後の仕上げ/観賞会

最後は臼井さんに細かな微調整をしていただきます。

餅をつく効果音も、「ペタ、ペタ」と単純な音と捉えていいたけど、餅と杵がぶつかる「ペチャッ」という音と、木と木がぶつかる鈍い「ドス」という音が混じって構成されていたり、
人の息遣いや掛け声など、様々な音が加わっていく度に、どんどん自然で聞き馴染みがある音になっていきます。

編集した映像をみんなで鑑賞

最後に、編集した映像をみんなで観賞しました。

映像作品の音響さんやサウンド担当の方が行っている、プロのお仕事を体験することができ、参加者の学生さんたちも大満足!

《参加者のみなさんの感想》
「音って、その音を発するものでしか出せると思ってなかった」
「本当の音になっていくのがびっくり。アニメーションとか全部つけてるんだ!と新たな発見があった」「音を探すのが楽しかった」
「色んな機材が触れたのも良い経験になった」
「収録の時、耳から音が入ってくる瞬間に映像に入る感じを想像して楽しかった」など


ワークショップで作成した映像はこちら。ぜひご覧ください!

構成・テキスト|岩根 裕子