秋田市文化創造館

イベント・プロジェクト

クリエイター・イン・レジデンス 2022

「やまは蔵、まちの原木、ケズリカケの木々」

臼井 仁美/アーティスト

まちなかに残る古い蔵や家屋を山に見立てよう
眠っている家具や道具の姿をした原木を蔵や家屋の中から探し出そう
探し当てた原木にケズリカケを施して
まちの至る場所に木々が現れる

まちなか活動プラン「やまは蔵、まちの原木、ケズリカケの木々」では、原木の採取場所をまちなかの蔵や家屋に見立て、秋田市内の蔵や家屋から家具や道具などの原木となる素材を探します。採取した原木を持ち主の意向も伺いながらアーティストの臼井仁美がケズリカケを施し、持ち主に返すプロセスを公開するものです。

アーティスト臼井仁美は、古くからの人と森との関わりや文化を通して人々の自然への眼差し・その営みに着目した作品を制作しています。
ここ秋田でも2021年度の滞在を踏まえた気づきをもとに、人間と植物との関係性や、それらがあらゆる境界を飛び越えたコミュニケーションや他者と繋がるきっかけになることを想像し、滞在制作・発表を行います。

(左)既製品のドイツのシュパンバウム(右)臼井作の鉛筆のケズリカケ
元の木の姿を取り戻していくことを道具と人間と一緒に行っていくことを考えている

滞在での気づき

藤浩志さんの素材で溢れた蔵は、オエダラ箕の田口さんがイタヤカエデを採集する山と重なります。渡邉幸四郎邸の踏み抜きそうな2階と生き物の気配は、樺細工の素材となるヤマザクラを採集する森のようです。役割を終えて家屋で保管される木製の家具や道具は、葉を落として森で春を待つ広葉樹のようにも見えます。
他のものに見立てなぞらえることは、異なる立場や環境を想像し理解しようとすることになりうると感じました。
人間と植物の関係がもう少し近い距離にありオエダラ箕が年間幾万点と制作されていた頃やボンデンコがお祭りで売られていた頃を想像すること、地域を超え世代や国境を問わないコミュニケーションのきっかけになるとも考えます。 まちなかで対象をそれ以外のものに見立てることがこのプランのはじまりとなります。
(臼井 仁美/2022年2月の滞在での気づきより)
▶︎ 2022年2月の滞在レポートはこちら


概要

「やまは蔵、まちの原木、ケズリカケの木々」
滞在作家|臼井仁美/アーティスト
内容|
Phase 1:原木採集
通常の原木の採集場所は山や森ですが、まちなかを採集場所とします。秋田市内の蔵、家屋のリサーチを行い問い合わせ、木で仕事がされているものでケズリカケても構わないもののご提供を市民の方へ呼びかけます。原木の対象は鉛筆から家屋まで。

Phase 2:ケズリカケ制作
提供者の方の希望も伺いながらケズリカケを制作します。

Phase 3:ケズリカケの木々があらわれる
ケズリカケを制作した作品を採集場所である自宅、蔵などに返却し、元の場所で展示をして頂けるようお願いします。
企画全体を取り込んだ見立てのまちなか地図を作り、作品のある各所で展示公開を行います。
原木がケズリカケ作品になって返却された姿を撮影し記録集を作ります。
公開ができない場所のケズリカケ作品は、本体のみまたは写真を別の会場に展示します。
その後ケズリカケ作品は戻った場所で、欠片を落としたりしながらそれぞれの環境の中へ戻っていきます。

実施スケジュール|

5〜7月秋田訪問・リサーチリサーチ・原木提供者の募集声かけ
7月〜協力者募集木製品を提供してくださる方を募集(〜8月末)
9月1〜15日滞在制作文化創造館を拠点とした滞在制作
提供いただいた原木を加工する作業などを予定
11月23日〜12月18日発表・展示文化創造館及び秋田市中心市街地での作品の展示公開
展覧会概要はこちら
ギャラリートーク12月17日(土) 15:00〜16:30 
人類学・神話学を専門とする石倉敏明氏をゲストに迎え、臼井仁美と本展についての対談を行う。
<参加申込はこちら>
※2022年7月14日 スケジュール情報を更新しました。

主催|秋田市文化創造館

〈新型コロナウイルスの感染予防・拡大防止対策〉
新型コロナウイルスの感染予防・拡大防止のため、下記の対策を行なっています。
・来場の際にはマスク着用をお願いし、スタッフもマスクを着用します。
・会場にはアルコール消毒液を設置します。

〈来場されるみなさまへのご協力のお願い〉
・発熱等の風邪症状や息苦しさ、味覚・嗅覚の異常などを感じる場合は参加を控えてください。
・参加にあたっては、その他必要な感染防止対策に努めてください。

Profile

臼井 仁美 /美術作家
1980年東京都生まれ。 海洋生物資源科学科を専攻した大学を卒業後、2004年東京藝術大学入学、2010年同大学大学院を修了。
作品は主に木を素材とし、先史時代には木器時代があったことを想像しながら、人間の自然への眼差しに焦点をあて思考、制作をしている。
物事の成り立ちや起源を人間の植物との営みの中に見つめ、対象の分解、見立てや置換によって、国境や世代を超えることのできる解釈を探っている。

http://hitomiusui.tumblr.com/

過去の作品
継ぎ目のない森/a forest without borders、2021
明⽇の装備/thinking for the future “mittens”、2021

クリエイター・イン・レジデンス

秋田市文化創造館が主催事業として行う「クリエイター・イン・レジデンス」では、秋田県内外から招聘された多様な分野の専門家やクリエイターが秋田市文化創造館に滞在し、市民の創造力を刺激する実験的なテーマに取り組みます。2022年度は、公募「SPACE LABO 2021」にて採択された2つのまちなか活動プランの制作・発表を行います。)

臼井仁美/アーティスト
「やまは蔵、まちの原木、ケズリカケの木々」