秋田市文化創造館

PARK – いきるとつくるのにわ

「街角パフォーマンスフェスティバル」レポート

日時|2024年9月21日(土)13:00〜16:00

秋田に暮らす人々やクリエイター、専門家が交わり多様な活動を展開するプロジェクト「PARK – いきるとつくるのにわ」。「観察する」「出会う」「育む」「残す」の4つのプログラムを通して、秋田の文化的土壌をたがやしていくことを試みます。
「出会う」では、さまざまなゲストを招いたイベントを通して、新しい視点や風景と出会うことを目的に、今年度はこれまでトークイベントなどを行ってきました。

9月21日(土)に開催された街角パフォーマンスフェスティバルでは、中心市街地の広場や道端を舞台に様々な経歴や個性を持つ市民が、それぞれの思いを込めたパフォーマンスを披露しました。

ここでは当日の様子を振り返ります。


あきた芸術劇場ミルハス(出演|むつみねいろ、小野地瞳、エレクトロニコス・ファンタスティコス! 秋田 Orchest-Lab)

プレ企画として、アジアトライAKITA千秋芸術祭2024とのコラボレーションパフォーマンスを実施しました。ミルハスの広々としたロビーを舞台に、むつみねいろさんによるダイナミックな舞踏、小野地瞳さんによるピアノ演奏と歌、そしてエレクトロニコス・ファンタスティコス! 秋田 Orchest-Labによる家電楽器演奏という斬新な組み合わせが実現しました。訪れた人々は足を止め、その新鮮なパフォーマンスに魅了されていました。

むつみねいろ「舞踏」
むつみねいろ「舞踏」
小野地瞳「ピアノ演奏、歌」
エレクトロニコス・ファンタスティコス! 秋田 Orchest-Lab「家電楽器演奏」

秋田市文化創造館(出演|長谷部美枝子)

文化創造館では、本日パフォーマンスを行う出演者の自己紹介に続き、長谷部美枝子さんによるパフォーマンスで発表を控えた出演者たちに熱いエールを送りました。今回の出演者は、文化創造館のAokidプロジェクト「あときとた」に参加してきたメンバーが中心。これまで千秋公園など様々な場所で「うあーパフォーマンスフェスティバル」という実験的な活動してきました。今回は、活動の場を秋田の中心市街地へと広げ、これまで使われてこなかった街の隙間や公共空間でそれぞれの「やってみたい」に取り組むという新たな挑戦を繰り広げます。

はじめのあいさつ
長谷部美枝子「ダンス応援」

次の会場へ移動する一同。さまざまな場所がパフォーマンスの会場になります。

にぎわい交流館AU(出演|KAZU、齋藤操、小助川葵)

にぎわい交流館AUでは、KAZUさんのジャグリングで幕を開けました。椅子に座っていたKAZUさんが突然パフォーマンスを始めると、観客は息を呑んで見入ります。
続く齋藤操さんと小助川葵さんによる「かけ算体操」では、観客が一の位と十の位に分かれ、全身を使って数字の形を真似ていきます。壇上で踊り出す観客の姿も。面白い形や難しい形に、会場からは自然と笑顔と笑い声が溢れました。

KAZU「ジャグリング」
齋藤操、小助川葵「かけ算体操」

仲小路からアトリオンへ(出演|銅ふたろ、山岸耕輔)

仲小路では、銅ふたろさんが雨天のため急遽「雨音を聴く」というパフォーマンスを行いました。参加者はそれぞれ思い思いの器を持ち、雨の音に耳を傾けます。普段は意識しない、雨音の繊細な響きに心が安らぎます。
その後、会場は千秋公園大手門のお堀に移り、山岸耕輔さんによる「水平を運ぶ」パフォーマンスへ。アクリルケースに入れたお堀の水をこぼさないように、慎重に運ぶ姿は、雨の風景と相まって、厳かな雰囲気を醸し出します。観客は固唾を飲んで、そのパフォーマンスを見守りました。最後はアトリオンの水場に水を移し、静かに幕を閉じました。

銅ふたろ「雨音を聴く」
山岸耕輔「水平を運ぶ」

アトリオン(出演|大村香琳、こばやしれいこ)

アトリオンの屋外では、大村香琳さんが壁に囲まれた限られたスペースを活かしたパフォーマンスを披露。細長い続く屋内では、こばやしれいこさんがアトリオンの手すりを利用した美しいバーレッスンを披露します。サン・サーンス「白鳥」のチェロの旋律が館内に響き渡り、その美しさに、観客は息を呑んで見入っていました。

大村香琳「雨の日にタイルの上で踊る」
こばやしれいこ「雨の日はアトリオンが私の舞台(ステージ)」

秋田駅前大屋根通り(出演|津田啓仁、No.001)

アトリオンから駅の方へ向かうにつれて、人通りが徐々に増えてきました。そんな中、津田啓仁さんによるパフォーマンス「ゆっくり歩く」が始まります。まるで時が止まったかのようなゆっくりとした歩みに、観客は足を止め、静かに見守ります。
すぐ側では、No.001さんによる「もしも、感情を持たない人がいたらあなたはどのように接しますか?」というパフォーマンスが行われています。ツナギ姿のNo.001さんは、感情を押し殺したように椅子に座っています。観客は「私を自由に扱ってください」と書かれた看板や、足元に置かれた服やペンキを前に、思い思いの行動をとります。積極的にアクションを起こす人、遠巻きに見守る人、反応は様々です。

津田啓仁「ゆっくり歩く」
No.001「もしも、感情をもたない人がいたらあなたはどのように接しますか?」

ぽぽろーど(出演|つばさ、酒泡酒泡クラブ)

秋田駅のぽぽろーどでは、つばさくんによる「街角に隠れ身の術」というパフォーマンス。事前に用意した音に合わせ、つばさくんが即興でパフォーマンスを繰り広げます。あらかじめ作られた手裏剣を体につけてもらう場面も。通りすがりの人も巻き込み、心温まる空間が生まれていました。
そして、イベントの最後を飾るのは、酒泡酒泡(しゅわしゅわ)クラブによる盆踊りです。雨の影響で屋外での実施が危ぶまれましたが、急遽ぽぽろーどが使用できることに。駅の西口から東口まで、盆踊りを踊りながら練り歩く姿は、さながらパレードのようです。駅を行き交う人々は、温かい眼差しで彼女たちを見守っていました。たくさんの人を巻き込んで踊る日が来るのも、そう遠くはないかもしれません。

つばさ「街角に隠れみの術」
酒泡酒泡クラブ「盆踊り」

あいにくの天気にもかかわらず、見慣れた秋田の街並みが、非日常的なワクワクする空間に変わっていく様子に、道行く人々も足を止めて見入っていました。伸び伸びとパフォーマンスをする出演者の姿は、街行く人々に「自分もやってみたい!」と、刺激を与えてくれたのではないでしょうか。出演者にとっても、観客の反応を直接肌で感じながら、自身のイメージを形にする貴重な機会となりました。次年度以降は、さらに規模を拡大し、様々な会場や人を巻き込み、表現の場を大きく広げていく予定です。皆様のご参加を心よりお待ちしております。どうぞご期待ください!

当日の映像はこちらから!

記録映像|大黒花菜子

記録写真|コンドウダイスケ(アキテッジ株式会社)
記録映像|大黒花菜子
レポート|島崇(秋田市文化創造館コーディネーター)

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