PARK-いきるとつくるのにわ
育む|文化創造館の庭で夏野菜を作ろう 実施レポート
日時|2024年5月-11月
秋田に暮らす人々やクリエイター、専門家が交わり多様な活動を展開するプロジェクト「PARK – いきるとつくるのにわ」。「観察する」「出会う」「育む」「残す」の4つのプログラムを通して、秋田の文化的土壌をたがやしていくことを試みます。
「育む」では昨年度に引き続き、集まったプロジェクトメンバーと共に屋外でプランターでの野菜栽培を行いました。
本レポートでは5月から11月にかけて行った野菜栽培の様子を写真を交えてお届けします。
【5月5日】
今年度の野菜栽培は、土づくりから始まりました。
栽培指導は昨年度に引き続き、秋田市で農家を営んでいるガイアガーデンの菅原さん。教えていただいた土づくりのレシピを参考に、土へ鶏糞や有機石灰、肥料などを混ぜ込んでいきます。
果菜類と芋類などでは、肥料の種類や配分を変える必要があるそうで、植える野菜に合わせた土づくりを行いました。
ブルーシートの上に広げた土を混ぜ返して行くのはなかなかの重作業で、混ぜ終わる頃にはヘトヘトに。できた土はプランターへ流し込み、苗を植える2週間後まで肥料を馴染ませておきます。
【5月19日】
春の陽射しを感じる頃、この日は苗植えを行いました。メンバーからの希望も聞きながら、今年植えるのはナス、白ナス、枝豆、ゴーヤ、きゅうり、ピーマン、オクラ、大玉トマト、ミニトマト、とうがらし、インゲン、空芯菜、さつまいも、いちじく、ペパーミント、カモミール、バジル、ローズマリーといった面々になりました。苗を植えたあとは、文化創造館の西側デッキへプランターを移動させ、木片で作った野菜の名札を挿して作業完了。この日より野菜栽培はいよいよ本格始動です。メンバーによる毎日の水やり当番も開始します。今年度はどんな成長を見せてくれるのでしょうか。
【6月】
夜は少し肌寒い6月初旬、野菜たちに変化が見え始めました。植えた時期が少し早かったようで弱っていた苗も、ピンと葉を上に向け成長の兆しが見えます。ハーブ類もぱらぱらと芽が見え始めました。
6月中旬にはミニトマトに今年最初の実が成りました。
【7月~8月】
文化創造館の野菜栽培では、野菜の成長をメンバー同士で共有するために、毎日の水やり当番の際に観察日記をつけていました。日記を見ているとその日によって、また観察者によって野菜の姿はさまざまです。
【7月28日】
季節は梅雨も終わりの頃。野菜が猛スピードで成長をみせたため、採れた野菜を味わう収穫祭を開催しました。収穫したバジルはジェノベーゼソースにしてトマトのカプレーゼへ、ピーマンやナスは揚げ浸しへ、栽培指導のガイアガーデンさんからいただいたケールはケールチップスへと調理をし、これまでの恵みへの感謝を感じると共に、夏はこれからが本番、さらなる成長への期待感が高まりました。
【9月中旬】
今年は気温がなかなか下がらないせいか、プランターを片付ける予定の日にも野菜たちはまだ花を咲かせ、実をつけていました。その様子を見て「まだ元気だから、最後まで見守りたい。もし片付けてしまうのだったら、家に持って帰って観察してもいいですか?」と小学五年生のメンバーが提案してくれました。
「もうすこし見守りたいね」とみんなで話し、ピーマン、ナス、さつまいもはあと半月、片付けるのを待つことにしました。
【10月6日】
いよいよさつまいもを掘り起こしました。
5月に植えた時は葉が数枚ついているだけだったちいさな茎が、ぐんぐん伸びてプランターを乗り越えてあふれんばかりに繁り… これはきっと土の中も大きなさつまいもでうめつくされているにちがいない!焼き芋大会だ! とワクワクしながら掘り返してみると、中くらいの1本と、手のひらサイズの芋がころころと出てきました。
焼き芋大会!とはいかないけれど、みんなで一口ずつ味わえるといいな。
さつまいもは収穫後熟成が必要なため、風通しの良い場所で休ませます。
そのほかの野菜のプランターもこの日で全て片付けました。プランターを洗い、プランターを洗い重たい土を十分に乾燥させて、来年の春まで保管です。
【11月2日】
今年度の活動を振り返る会を行いました。
秋田の恒例行事「なべっこ遠足」になぞらえ、具を一品ずつ持ち寄り、お鍋を作り、炊き立ての新米と一緒に楽しみました。
10月に収穫ししばらく熟成させていたさつまいもは、薄くスライスして、おいもチップス!何にも味付けしなくても、甘味十分!
もちよりなべっこは、鳥とごぼうの醤油だしに、大根、こんにゃく、白菜、ネギ、里芋など。いろんな具材から味がしみ出て、滋味深いお鍋になりました。
美味しくいただきながら、1年間の活動で一番印象的だったことや、来年実現してみたい活動について話し合いました。
「春の土づくり、秋の収穫後の土の片付けなど、力仕事がいちばんの思い出」
「プランター農園作りがきっかけになって、息子が自宅の庭でも野菜作りを始めた。今では何を植えるかも自分で考えて決めるくらい、熱心にやっている」
「ここに参加して、野菜メニューをいろんな方に教えてもらい、レパートリーが増えた」
「来年はプランター栽培だけでなく、農家さんの畑にも行って野菜を育ててみたい。こどもと一緒に経験したい」
「いちごをつくってみたいな」
「来年はいちじく2年目、実を収穫して甘露煮を作れるかな」
などなど、会話が弾みました。
「文化創造館の庭で夏野菜をつくろう」
3年目の今年は、就学前のお子さんから70代の方まで総勢40名が参加しました。
春の土づくりから振り返りの会まで、約180日…
野菜たちの成長を見守り、記録し、料理して、食べる、をともに体験しました。
参加者の皆さんそれぞれの中に、どんな実りがもたらされ、次への種が残されたでしょうか。
そしてその種は、どんな大地で芽吹くでしょうか。楽しみです。
栽培指導|ガイアガーデン
編集|武田彩莉(PARK – いきるとつくるのにわ プログラム・コーディネーター)、前田優子(秋田市文化創造館 コーディネーター)
写真撮影|伊藤靖史(Creative Peg Works)、安藤陽夏里、文化創造館スタッフ
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