「ローカルなフード(風土)を味わう」第二部 開催レポート
日時|2022年7月31日(日)13:00〜17:00
秋田に暮らす人々やクリエイター、専門家が交わり多様な活動を展開するプロジェクト「PARK – いきるとつくるのにわ」。「観察する」「出会う」「育む」「残す」の4つのプログラムを通して、秋田の文化的土壌をたがやしていくことを試みます。
「出会う(新しい知識や技術と出会うトーク&ワークショップ)」の第一回として、トーク&ワークショップ「ローカルなフード(風土)を味わう」を開催しました。第一部では京都大学の秋津元輝教授をゲストに食という身近な分野を起点としながら、(ちょっと遠くに感じる)未来や環境、社会のことについて考えるレクチャーを開催。第二部では美郷町にて学び舎・やぶ前を運営するわいないきょうこさんを迎えて、秋田の食材を味わう調理ワークショップ・食事会を開催しました。
●第二部「とれたての夏野菜をさらに特別おいしくする魔法伝授します!!」
第二部では秋田市文化創造館の庭にテーブルとイスをだし、屋外でお料理の伝授、お食事会を行いました。会場作りからこだわり、文化創造館の木々の間に布を張って、緑の空間に白い布が映えるステキな空間を演出しました。晴れ渡った青い空がこの日のイベントのためにあるようにも見えました。
第二部でご紹介いただいたメニューは、夏の火照ったからだを体の内側からさげてくれる世界各地の夏野菜料理をご紹介いただきました!
・ガスパッチョ(スペイン)
トマトときゅうり、玉ねぎ、ニンニクをすりつぶした冷製スープ。野菜をすりおろしてつくるのでシャキシャキ感がします。トマトやきゅうりが嫌いなひとでも食べれてしまうスープ。
・すいかのサラダ(エジプト)
スイカをスプーンでくり抜いて、ミント、カッテージチーズ、胡椒を混ぜて完成!
ミントのスッキリ感がスイカの味にピッタリ。スッキリ爽快で暑い夏を涼しくしてくれるサラダ。スイカをサラダにすることで、スイカは野菜だったことを再認識しました!
・かぼちゃの花のフリット(イタリア)
カボチャの花にチーズを詰めて揚げた料理。ほんのりカボチャの味を感じた後のチーズがとっても合う。かぼちゃの花が食べられるなんて知りませんでした!
・肉厚しいたけと生のガーリックバターのカナッペ(A la Yabumae)
ローストしてほっくりと柔らかくなったニンニクを軽くトーストしたカンパーニュに塗ってあります。軽く火を入れた肉厚の香り高いしいたけを乗せて。食べ応えばっちりの一品です。
・ルバーブクランブル(イギリス)
ルバーブというフキのようなお野菜を砂糖につけて一晩、ほろほろにしたバターと小麦粉を合わせたものを乗せてオーブンで焼きます。食べるときはお手製のヨーグルトを添えて。
野菜が甘くてとろとろになっていて驚きました!
・すいかジュースのパンチ(A la Yabumae)
すいかのサラダで残った果汁にアカツメクサのシロップを混ぜたジュース。アカツメクサの花のシロップも珍しい!
「ガスパッチョ」と「すいかのサラダ」は参加者も実際に手を動かしてつくりました。トマト、きゅうり、玉ねぎをすりおろし器でスリスリ。それぞれの机に野菜を配り、すりおろしていきます。
「すいかのサラダ」はすいかをスプーンでくり抜き、ミントの葉をちぎって調理を行いました。残ったすいかの汁はアカシアのシロップに混ぜて「すいかジュースのパンチ」に利用し、余すことなく味わいました。
世界の料理を知ると、一つの野菜でもいろんな食べ方があるのかと大きな発見がありました。
すいかはミントと合うんだ!と思ったり、かぼちゃの花はほのかにかぼちゃの味がするんだ!と驚きがありました。
ご参加頂いたかたからも「あたらしい視点ももらえたし、おいしい料理もたべれたし良いことづくめのイベントでした。きゅうりがきらいですが、ガスパッチョおいしかったです。びっくり…」と普段は嫌いな野菜でも、おいしく食べられたという嬉しい声もありました!
【農家さんの紹介】
また、今回使用した食材たちは、わいないさんが主催するやぶ前のメンバーが生産者さんを訪ねて調達されています。ご提供頂いた生産者さんたちのお話をする目はキラキラしていて、たくさんの発見があったそうです。そんな農家さんの展示も行いました。
手書きのコメントはわいないさんの直筆です。
●カンパーニュ
薪窯ベーカー Kabocha 藤原暁峰さん
●きゅうり
たかはし農舎 高橋洋生さん
●小玉すいか
野菜農家 ひらもと 平元沙恵子さん
●トマト
すまっこふぁーむ 梅川農園 梅川尚季さん
●でかーいすいか
高橋良昭さん
●にんにく
小野拓人さん
●肉厚しいたけ
柿崎文夫さん
●ルバーブ
ジェニファームさん
●かぼちゃのはな
室谷栄進さん
講師のわいないさんからコメントをいただきました!
楽しかった夏の絵日記みたいな2日間でした。
このイベントの前の日に文化創造館の庭をグルンと見渡して
気持ちのいい日除けであり美味しいインスピレーションをくれる綿麻の一反の生成り。
それがうまく張れた時によし!できた!と思いました。
美味しいをマックスにしてくれる食べる環境。
それも味として提供できる食が私の推進する志ある暮らしだと思っています。
秋津先生のお話にあるこれからの食を考える時間。
そして味としてレシピとして食の環境の自由な発想そして思考回路を参加してくださった方々がそれぞれにキャッチしてくださっていたこと。
本当にうれしかったです。
極楽浄土をイメージさせるハスの花が満開で。
この2022年7月31日は私にとって一生忘れることができない1日になりました。
この場をお借りして一番大切な材料供給に力を貸してくださった生産者の皆様に御礼申し上げます。
やぶ前 わいないきょうこ
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Profile
わいないきょうこ(デザイナー、やぶ前)
横浜市出身。桑沢デザイン研究所写真研究課卒。日本でバッグデザイナーとしてそのキャリアをスタート、活動拠点をロンドンに移した後は、内外問わず様々な企業やデザイナーとのコラボレーションを通じ、バッグを主軸にファッショ ン小物やインテリア・オブジェなどを制作。また舞台、映画などのコスチュームデザインも担当。 現在はブータン王立タラヤナ財団クリエイティブアドバイザーなど続けながら、ロンドンのスタジオを母方のルーツ秋田美郷町に移し、町の人々と伝統と知恵を新しく捕まえる形で世界にその暮らしぶりを伝えるための町の学び舎’やぶ前’を始めた。
撮影|大森克己
農家さんの写真提供|やぶ前メンバー
テキスト|山本美里(PARK – いきるとつくるのにわ プログラム・コーディネーター)