秋田市文化創造館

PARK – いきるとつくるのにわ

「ローカルなフード(風土)を味わう」第一部 開催レポート

日時|2022年7月31日(日)13:00〜17:00

秋田に暮らす人々やクリエイター、専門家が交わり多様な活動を展開するプロジェクト「PARK – いきるとつくるのにわ」。「観察する」「出会う」「育む」「残す」の4つのプログラムを通して、秋田の文化的土壌をたがやしていくことを試みます。

「出会う(新しい知識や技術と出会うトーク&ワークショップ)」の第一回として、トーク&ワークショップ「ローカルなフード(風土)を味わう」を開催しました。第一部では京都大学の秋津元輝教授をゲストに食という身近な分野を起点としながら、(ちょっと遠くに感じる)未来や環境、社会のことについて考えるレクチャーを開催。第二部では美郷町にて学び舎・やぶ前を運営するわいないきょうこさんを迎えて、秋田の食材を味わう調理ワークショップ・食事会を開催しました。


●第一部「食から考えよう秋田の未来」

秋津:皆さん、こんにちは。京都大学農学研究科の秋津です。今日のテーマは『食から考えよう秋田の未来-参加で組みなおす暮らしのかたち-』です。食は全ての人に関わりがあります。食という観点から考え直してみるということには、全ての人が参加できます。そこが食の特徴だと思っています。

私は農学部に所属しています。現在、日本の農業は農業者の頑張りだけでは、なかなか立ち行かなくなってきています。そこで食という観点から農業を考え直し、食べる側がいかに農業を考えるのか、あるいは地域を考えるのかに基づいて研究を進めています。

私の出身は香川県です。家は農家ではありません。高校生の時にこれからは環境を考えなくてはいけない時代だと思って農学部を選びました。なぜ環境に関心を持ったのだろうと改めて考えると、香川は雨が降らないんです。だから水が少ない。今はダムが出来てマシになりましたが、私が子どもの時は毎夏必ず断水になりました。「資源に限りがある」ということを身につまされて、子ども時代を送りました。それが環境への関心や「人々が好き勝手に資源を使ってやっていけるわけがない」という考えに繋がったのだと思います。

実は2016年に秋田の能代市で「食から社会を考える」というワークショップを開催しました。食から社会を考え直してみようという取り組みは、最近少しだけ関心が持たれ始めていますが、2016年当時は日本全体でもまだ新しく、地域の人たちに主体的に考えてもらうことは難しいなと実感したイベントでもありました。今回はそのリベンジとして、地域やそこで暮らしている人たちにこそ、食を中心にした地域づくりを主体的に考えてほしいというメッセージをお届けしたいと思います。

最近よく見るSDGsで挙げられている目標の中には、食や農に関連するものがたくさんあります。中でも食料生産は、人間が生きていく上でなくてはならないものですが、人々が地球にかける負荷の4分の1程度は、食料生産に関わっていると言われています。

食に焦点を当てることで、多くの持続可能性の問題に関与することができます。今、世界的に人々の生活水準が上がるほど地球への負荷が大きくなっていて、一定の生活水準を保ちながら地球へ負荷をかけない社会をどうやってつくっていくか、というのが大きな課題になっています。こういった問題に向き合うためにSDGsがあるわけです。

食と農をめぐる世界の今

もう一歩踏み込んで、食と農に特化して、今世界はどうなっているのかということを考えてみたいと思います。

世界の穀物生産量の推移をみてみると、主要な穀物は『コムギ』と『イネ』と『トウモロコシ』の3種類です。秋田もそうですが、日本全体として親しみ深いのは『イネ』ですね。

2000年ぐらいまではその3つの生産量に差はありませんが、2000年以降の変化として特徴的なのは、トウモロコシの独り勝ちになっていることです。このたくさんのトウモロコシは一体どこへ行っているのでしょう。

2010年にNHKの番組の中で、髪の毛から身体の炭素が何由来かを調べるという実験をしたそうです。その結果、炭素の割合のうちアメリカ人で70%、日本人で40%がトウモロコシ由来だったそうです。

しかし毎日バリバリトウモロコシを食べている人はまずいません。では、70%や40%のトウモロコシがどこから体に入っているのか分かりますか。これはほとんど肉なんです。牛や鶏、豚が多量にトウモロコシを飼料として食べていて、体がトウモロコシ化しているのです。だから、肉を食べるというのは、トウモロコシを食べているわけです。

トウモロコシは家畜飼料のほかに、燃料(エタノール)や甘味料にも使われています。つまりトウモロコシは、食べ物というよりも原料として生産されています。またトウモロコシは、環境に良くないです。というのは、小麦の3倍、水を必要とします。アメリカはトウモロコシをたくさん作っていますが、地下水をくみ上げてやっているので、地下水の枯渇という問題が起こっています。地下水は何万年もかけて溜まったものですから、それを一気に吸い上げるのは、当然サステナブル(持続的)ではないです。石油はなくなりそうだといっても、違う方法で見つけられる可能性がありますが、水がなくなったらどうなるのでしょう。

「世界の今」を考えるためのもう一つの話題は、都市化が進んでいるということです。先進国はもちろん途上国も都市化が進んでいます。2006年に世界の農村人口と都市人口の比率で都市人口の方が多くなりました。それ以降、都市に住む人たちがどんどん増えている。

都市で住む人たちに食べ物を供給する際には、様々な加工のプロセスが入るため、一次産業にあたる生産者よりも、そうではないところの人たちのお金の取り分がはるかに増えていっている状況です。

今、肥料の高騰で農家の生産費がどんどん上がっていますが、スーパーは商品の値段を上げると消費者が買わなくなるので、農家からの購入価格を上げたくない。そのしわ寄せが生産者に行くわけです。生産者は生産費が上がっているのに販売価格が上げられません。これでは農業を続けられないということになる。

その結果どうなってきたのかというと、1965年に73%あった食料自給率が2019年には38%にまで下がりました。家畜飼料としてのトウモロコシ輸入が増えて、加えて米の消費が減っています。さらに私たちの身体は穀物をやめて油化しています。

今スーパーでは、お惣菜売り場がすごく充実しているじゃないですか。揚げ物は痛まないので売るリスクが少ないし、働く一人暮らしの人や共働きの家庭にはお惣菜は便利なので、購入してしまう。お惣菜に需要があるということはライフスタイルとも関連していて、働き方や社会全体の問題とも深く関連してきます。

今、都市の人口が大きくなり、かつ都市と農業が離れてしまっているのが現状です。ここで意見を統一して、都市の側からも自分たちの食を確保するために、どういう働き掛けをするのか考えていく必要があると思います。国は農地が減り、農業者が減り、後継者も若い世代もいない状況を政策でなんとかしようと試みていますが、制度で決められなくても、私たちの日々の食べ物なんですから、当然考えないといけないですよね。

食べる側も参加しながら、自分が購入し食べているものが、どういう技術でできているのか、どこで作られているのか、作っている人たちがちゃんと暮らせているのか、ちょっとでも考えて食べるようにすれば、少し高くても適正価格で食品を購入するという選択肢も出てくるかもしれません。何を食べるか、何を選択するかということが環境や私たちの暮らし・将来に大きく影響を与えます。

食からのアプローチ

食という分野では様々な研究がなされています。栄養学、食品科学、ビジネスやツーリズム、食料安全保障、あるいは文化。食は慣習的されていて、毎日全く違うもの食べている人は少ないと思います。スーパーで買うものも大体決まっていて、定番のものを買って作って食べている。そういうような文化性を研究する分野もあります。

私たちが今考えているのは、「選択と改革」ということです。選択、何を選ぶかということによって食の在り方を考えていく。そういう食や農へのアプローチの仕方を考えています。

食べ物を通じて、私たちが何に繋がっているかを考えた時に、一つは自分の身体・健康に繋がりますよね。もう一つは、なんでしょうか。モノを買うということは、自分が認めて、そのものの生産・加工・流通を支えているということです。そういう意味で、食べ物が生産されている環境やその間にいる人、社会的な問題とも繋がっているわけです。

食べるということは、極めて個人的なことですが、食べ物が自分の前にやってくる過程を考えると、すごく社会と繋がっているんです。理想とされているのは「身体によいものは環境にも社会にもよい」という状態をつくることです。

二つ、例を挙げます。一つはイギリスの例です。

イギリスが掲げる「食行動のガイドライン」では、健康的な体重を維持することや、肉の消費を抑えて豆やナッツからタンパク質を取ること、フルーツと野菜を食べること、持続可能な状況で取られた魚を食べること、水道水を飲むことなどが挙げられています。

他には食品をスーパーマーケットではなく、地域の小売店から購入することなどもあります。自分が払ったお金がその後どうなるかを考えた時に、例えば近くの豆腐屋さんで購入すると、そのおやじさんやおかみさんがそのお金を地域に落としてくれるわけです。すると、地域でお金が回る。しかし、全国チェーンのスーパーで買うと、収益分は本社に持っていかれるので地域から出ていきます。だから、地元の小さい店屋で買いましょうということが挙げられている場合もあります。次はブラジルの例です。

「食行動のガイドライン」は国によって違うのですが、ブラジルの場合は、できるだけ誰かと一緒に食事をすること、出来合いの食品ばかり売っているところでは買わないこと、調理技術を磨き継承していくことなども入っています。ブラジルは食の社会性を極めて重要視しているところが特徴です。

先ほど「何を買うかが、社会と繋がる」と話しましたが、それを考える3つの基準を紹介します。
一つ目は「自然環境」。環境に良い形で生産されているものを買うべきだということです。例えば、化学肥料をたくさん入れて生産されているものは、土壌の豊かさを失わせるし、それが外に流出して環境を悪くする場合もあります。また、あまり遠くから持ってきているものは、輸送のエネルギーかかるので環境に影響を与えます。そういうことを総合的に考えた上で、どの食べ物が自然環境に良いのか、環境負荷が少ないのかを考える必要があります。

二つ目は「社会的正義」です。生産者が生産を続けることで、正当な対価を得て生きていける状態で作られたものなのか見極めるということ。それは農業者だけではなく、途中の加工や流通に携わる人たちも同じです。

三つ目は「地域経済」です。その地域のものを食べようというのは環境の面だけではなく、お金が回るかも考える必要があります。作り手にとっても、顔が見える人が食べているのでちゃんと作ろうと思う、そんな関係が生まれるかもしれません。
日々の行動を変えるためには、それぞれの人の心掛けだけではなく、インフラや制度にも併せて働きかけていくことも重要です。

食からの地域づくり

最後に「食からの地域づくり」についてお話しします。

食はいろんなところに関連しているので、食に焦点を当てることによって様々な政策を統合できると考えています。そこでお示しするのが「フードポリシー(総合的食政策)」です。

「6つの目標」の中で最も重要なのは、「食における民主主義の確立」です。何度も言っているように、食は全ての人に関わる問題ですから、それに対する発言権が全ての人にあるはずなんです。しかし、それを吸い上げるシステムが全くなく、政策に訴える道もありません。例えば、餃子に農薬が残っているということがあれば社会でも事件的に扱われますが、もっと日常的にどういう食を自分たちは食べたいのかをちゃんと決めていける仕組みをつくる必要があると思っています。

それで今、私たちが考えているのは、住民が参加する組織をつくり、行政にも関わってもらいながら、その地域自体の食を考えていくということです。自分たちが何を食べるのかというのは、どういう地域をつくるのかという政策に直結します。組織に行政職員や首長、自治体が参加することで政策化にも繋げられます。

私は今京都で「食と農の未来会議」という取り組みをやっています。食が教育や都市農業、廃棄、災害、安全、コミュニティーなどの要素と関係し、広がりを持って考える切り口になることを示しながら、食べ物から地球の未来を変えていく活動しています。

私はローカルであるということは、重要な要素だと考えています。日々接する食という分野について、どうやって自分たちの意見を政策に反映させていけるのか。国のレベルになると難しいけれど、まずは顔が見える範囲、小さな地域、自治体を範囲にして、食の民主主義を進めていくのが、得策だと思います。顔が見える範囲で考えた意見を自治体の政策に繋げていけば、それを国が拾ってくれる可能性もあります。

また「よい食」というのが地域で実現されていると、その地域の魅力を高めることにも繋がります。子どもたちが有機や質のいい学校給食を提供されていると、子育てのための移住者が増えたりもします。

地域の「よい食」は外からはブランドになりますが、中はプライドだと思うんです。
地域の魅力を高める要素にもなるということは、地域づくりにも密接に関係してきます。工場を誘致して就業の場所をつくるとか、そういうことだけではない生きること、暮らすことに向き合った地域づくりの在り方として、食を中心にした地域づくりあり得ると思います。

最後にお伝えしたいのは、「よく食べる」こととは、つまり考えるということです。私たちが食べているものは、全て命あるものです。唯一、そうでないものは塩だけです。他の生き物を食べないと、生きていくことはできない。そういうことをもう一度考えてみることでどういう食べ方をするのか、どういうものを食べるのか。それが結果的にどういうものを選ぶのか、を考えることに繋がっていくと思います。
命を食べているということに立ち返ってみることで、食をきっかけにして私たちの未来に向き合うことができるんじゃないかと思っています。

●秋津さん×わいないさん 対談

わいない:今日のいろいろなお話を聞いていて、秋津先生のおっしゃっていることを、私たちは実践しているという自負を持たせていただいたので、間違ってないなと思いました。

私のバックグラウンドをお話ししておきますと、英国に33年間住んでいましたが、約4年前に秋田県の美郷町に移住しました。母の実家が美郷町だったので、小さい時にはよく通った思い出のある場所です。

英国から日本に移住するのであったら、友達に本物の日本を見せてあげられる場所に移りたいなと思って選んだのが、美郷町です。
秋田は、とっても水のおいしい所です。この夏、東京に行ったことがありまして、美郷町に帰ってきて蛇口をひねって水をぐいっと一杯飲んだとき、ああ、帰ってきたって思ったんです。本当に体に水が染み込んでいくのが分かる、ちゃんと体に取り込める水なんです。 今、私の住んでいる秋田はそういう秋田です。お話を聞いてそんなことをいろいろと思いました。

秋津:わいないさんは、33年間イギリスにいらっしゃって、しかも秋田のご出身ではないということで、秋田の良い食や良い水を新鮮な目で発見することができるんですね。よくあることなんですけど、長く住んでいると良さが分からないということがあります。

しかし良さを再発見していくことが、魅力的な地域をつくっていくことに繋がる。自分たち自身が地域に魅力を感じているからこそ、自分たちの暮らしの魅力を外に発信できる。それが、地域の人口が減っている中で、地域を持続していくことの基盤になってくると思います。そのためには、自分たちが食べている食がいかに魅力的なのか。それを、自分たちが知るということが大切だと思います。
わいないさんは、秋田の食に焦点を絞るとどこが魅力だと思われますか。

わいない:さっき言ったお水が一つあります。そして長い冬があるからこその保存食の素晴らしさ。保存の技術とノウハウは、ものすごい勉強になります。そして発酵食品。お醤油とお味噌から「味ってこんなにいっぱいあるんだ」という勉強ができている感覚があります。
あと、雪のない時間が短いために、その間にしなくちゃいけないこともあります。雪のない期間の中で、ほとんどのおうちが家庭菜園をされています。毎年、採れ過ぎて大変だからと言いながらも量を減らさないのは、周りにあげることがとっても楽しいんですよ。

収穫したものをみんなで分け合うことで、コミュニケーションが生まれて、新しいメニューが生まれて、新しい食卓ができる。それが本当に素晴らしいと思っています。

秋津:新しいメニュー、食卓が生まれるというお話を聞くと、食材の良さを今までのやり方とは違う形でそれを発揮させていくことも地域の食の豊さや特徴を高める方法だと思いました。発酵の文化を始め、伝統食には蓄積された技術や知識が備わっているので十分に活かす必要はありますが、もう一歩柔軟になると、ぐっと地域の魅力が広がるように思いますね。
雪の中での暮らしが長い秋田から発信できるものは一体何なのか。未来に向けて、秋田の環境だからこそ、発信できるものがあるんじゃないかと思います。それが見つかれば、もう怖いものはないですよ。「自分たちはこれがものすごくいいと思っている」と言えば、必ずそれを認める人たちがいっぱい出てきますから。
わいないさんは冬の暮らしについて何か感じるところはありませんか?私のイメージでは、冬は耐え忍ぶものかと思っているのですが。

わいない:これが、実に楽しいんです。食のことで言うと、作り置きして食べるものがいっぱい出てくるじゃないですか。秋田のテーブルの上には、「この間作った何々」と言って保存食がたくさん出てくることが、楽しいです。
あとはやはりお鍋。温かいものを食べるために食卓を囲むのもすてきなんです。秋田の外の人はきりたんぽのことばかり言いますが、実にイージーな食べ方のおいしい鍋がいっぱいあります。それから、大事に取っておいた雪の下のお野菜だとか、そういうものを引っ張り出してきて、さあおいしいものを作ろうっていう、それが楽しい作業だなと思っています。

秋津:先ほどのレクチャーの中であまり言わなかったんですけど、もう一つ皆さんに考えてほしいなと思うことは、本当に自分の食べたいものを食べているのかという問いです。

例えば、コンビニやスーパーに行くと陳列棚にはいろんな商品が並んでいますよね。私たちは、選択肢をいっぱい持っていて、あたかも自分の意志で選択しているように思いますが、言ってみれば、スーパーの売りたいものを買わされているわけです。コンビニでも同じです。
そういう中で、本当に自分が食べたいもの、あるいは買いたいものが供給されているのか。そういう問いをもう一度考えてみるべきだなと思います。

わいない:日本に戻って驚いたのが、外食でお肉の塊をすごい食べるようになったと思うんです。日本人ってこんなに血の滴るようなお肉を食べる人種だったっけと思ったのですが、これもフードビジネスが生んだ流行りごとのような感じがしています。その姿が、私はあまりうれしいと思えないので、それは食べたくないっていう拒否感が出ますね。

秋津:そうやって肉を塊で食べるからトウモロコシになるんですけど。そういう時代に生きていると、それが当たり前になっていく傾向がどうしてもありますね。

わいない:イギリスではちゃんとした法律があって、原産地国をきちんと書かないといけないんです。フレッシュジュースに関しても、100%果汁のものと保存加工がされているものは全く違う売り場にあります。要するに、違うものですよってちゃんと書いてあります。

秋津:ヨーロッパは添加物についても表示が進んでいます。そういう面では日本は全然進んでいないです。そういうことを制度としても進めなくちゃいけないと同時に、それを地域で完結させることによって、制度が進んでいなくても素性が分かるというようなやり方があるかなと思います。

●会場から

参加者:今、若い女性の中でダイエット食品として、オートミールを食べている人が結構いるなと思うのですが、正直玄米でいいんじゃないかと思っています。秋田も今、玄米や米粉のアピールをしていると思うのですが、アピールの方法はどのようにするのがいいのかお聞きしたいです。

わいない:お米じゃなくちゃいけない、玄米じゃなくちゃいけないっていう固い考え方じゃなくてもいいと思いますよ。そしてオートミールを秋田で生産して、地産地消することも不可能ではないです。流行りごとではなく、自分は何が好きで、何が食べたいのかを見極めることがまずは大事だと思います。

秋津:オートミールは簡単に作れるということが今のライフスタイルに合って、求められていますよね。それが玄米を原料にした場合にどう簡単に作れておいしいかを、みんなに受け入れられるようアピールする努力をあまりしていない。
ブラジルの食行動のガイドラインに調理する技を磨き、継承しましょうというものがありましたが、自分の力で自分のライフスタイルに合った食べ方を創造する。そういうことにちゃんと時間と頭を使えるような暮らしをつくっていくことが重要なのかもしれませんね。

●参加者コメント

・おいしいものには興味があるけど、普段家で食べているものにはあまり関心を向けられていないことに気づいた。
・「良い食が地域の魅力を広める」という考えに共感した。どこでできた食物なのか、どうやって食べるのか、誰と食べるのか、などを考えながら食事する習慣が定着させたい。
・日本でも食行動のガイドラインがあればいいのにと思った。
・普段、食品を購入する時は産地を気にしても、低価格の誘惑に負けていると感じた。
・私たちは地元のものを愛して、食べる県民でありたい。
・秋田には野菜や果物、肉、乳製品など良いものがたくさんあるが、「青森のりんご」や「山形のさくらんぼ」のようなイメージはない。秋田の人だけが知っている秋田の魅力がまだたくさんあると思う。
・「よく食べる」ために考える。そのための話し相手やチームがほしい。

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Profile

秋津元輝(京都大学農学研究科教授)

1960年香川県生まれ。京都大学大学院農学研究科博士課程単位取得の後、三重大学助手、奈良女子大学助教授などをへて、現職。農業社会・倫理論専攻。農村生活の研究からスタートするも農業と農村の後退を前にして、都市住民も一体となった食からの地域づくり、社会づくりに関心を向ける。世界とのつながりを意識した地域の暮らしも重視している。近著に『農と食の新しい倫理』、『食と農の世界をたてなおす』(共編著)、など。

わいないきょうこ(デザイナー、やぶ前)

横浜市出身。桑沢デザイン研究所写真研究課卒。日本でバッグデザイナーとしてそのキャリアをスタート、活動拠点をロンドンに移した後は、内外問わず様々な企業やデザイナーとのコラボレーションを通じ、バッグを主軸にファッショ ン小物やインテリア・オブジェなどを制作。また舞台、映画などのコスチュームデザインも担当。 現在はブータン王立タラヤナ財団クリエイティブアドバイザーなど続けながら、ロンドンのスタジオを母方のルーツ秋田美郷町に移し、町の伝統工芸品を世界の暮らしに伝えるための町の学び舎’やぶ前’を始めた。

撮影|大森克己
編集|藤本悠里子(NPO法人アーツセンターあきた)

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