「SPACE LABO 2021」三本木歓さん滞在レポート
2022.2.25
クリエイティブな視点でまちなかを活用するプランを考える公募「SPACE LABO 2021」。1月下旬から、二次審査を通過したクリエイター5名が秋田市中心市街地に滞在し、リサーチやワークショップなどの活動を行いました。今回は三本木歓さんの滞在をレポートします。
クリエイターの皆さんは、この滞在での経験をふまえて「まちなか活動プラン」を作成。3月21日(月・祝)に開催の公開プレゼンを経て選ばれた1〜2名が、春以降にプランを実施します。
三本木歓さんは建築分野での学びや活動を活かしながら、初めて訪れる秋田市でのフィールドワークに取り組みます。特に注目しているのが千秋公園に隣接する「秋田市立明徳小学校」、そしてその下を通過する「千秋トンネル」、また公園北東に位置する「住宅地エリア」。これらの場所を実際に歩き、秋田で暮らす人々からの声を集めることで、日常では見落とされてしまう街空間の構造や連関を顕在化させるプランの制作へと発展させていきます。
2月2日(水)
午後、初めての秋田に降り立った三本木さんは「意外と寒くないですね」と一言。三本木さんとともに、まずは市立明徳小学校を訪問します。明徳小学校は千秋公園北側に位置しており、久保田城の北の丸があった小高い山の上に建っています。グラウンドの下には、今回の滞在で注目している「千秋トンネル」が通過するという、不思議な立地の小学校です。
教頭先生にご案内いただき、グラウンドが見下ろせる校舎上階のベランダから撮影をさせていただきます。広々としたグラウンドの先には、久保田城御隅櫓が真近に建っていてとても良い見晴らしです。三本木さんは、千秋トンネルが通過する場所をなぞるようにグラウンドを対角線上に歩いていきます。三本木さんが歩くことで、視覚化されていない地層の重なりを意識されられます。
2月3日(木)
この日は朝から、久保田城御隅櫓に登り秋田市を一望。高い場所から俯瞰して街を見ることで、道の繋がりや建物の並び、地形の高低差に気づくことができ、歩くだけでは得られない視野を得ることができました。
その後に、秋田市中央図書館 明徳館に訪問し、千秋公園の資料や公園付近の住宅地図を発見。資料に目を通しながら、時間とともに細かく変化していく街の動きを追いかけます。
現在、千秋トンネルや千秋公園北東に位置する住宅地のエリアには、「養鯉場」があったことが分かったり、御隅櫓から見えた空き地は浄水場とテニスコートの跡地であることが分かったり、かつてお堀や旭川では和船で人や荷物を運搬していたことがわかる写真なども見つけられました。
フィールドワークを通して千秋公園周辺の空間的な特徴やレイヤー構造を意識しつつ、資料調査からは時間的な変化や連なりを捉えていく。三本木さんの滞在では同時に二つの軸でのリサーチが並行していきます。
午後には、事前の呼びかけで集まってくださった方々と、千秋トンネルを歩きながら思い出話を伺います。千秋トンネルの中は、車や風がびゅうびゅうと吹き抜けていき、身振り手振りを交えながらなんとか会話します。車がいなくなった瞬間にだけ、急にはっきりと話し声がトンネル内に反響し、なんとも不思議な体験です。
2月4日(金)
滞在3日目の午前中は、千秋公園北東に位置する住宅地エリアに訪問します。エリア内の時計屋さんで壊れた時計を直してもらいながらお話を伺ったり、美容院で髪を切ってもらいながら、店内に残る水槽のエピソードを伺ったり。そのエリアに住む人たちが持つ街の記憶が集まっていきます。
午後には、昨日と同じく秋田に住まわれる方とトンネルを歩きながら思い出話の収集をします。その後は文化創造館に戻り、交流会を実施。図書館で複写した住宅地図をテーブルに広げながら、三本木さんに活動の経過報告や滞在の展望をお話しいただいていると、参加者の方々からも住んでいるからこそわかる街の情報や過去の新聞記事について教えていただくことができました。
2月5日(土)-6日(日)
滞在後半は、これまでの滞在で得た情報や縁を元に、黙々と住宅エリアでの聞き込みとフィールドワークのため歩き回ります。古くからお住まいの方やお店を営んでいる方にお話を伺ったり、時には整体院で施術を受けたり、昔ながらの駄菓子屋で大判焼きを買ってみたり。また滞在中に紹介された赤れんが郷土館や空き地になっていた浄水場跡地の見学も行いました。
三本木さんの滞在では、千秋公園の中に混ざり合う住居や店舗、小学校、トンネル、空き地といった特徴的な立地条件にある場所に着目し、調査が行われました。住所表記を見ると公園の一部として見えてしまう違和感をもとに、実地でのフィールドワークや資料調査、聞き込みを行なった5日間。千秋公園を取り巻く環境や地形が三本木さんにはどのように見えて、どのようなプランになって公開プレゼンで提案されるのか、期待を膨らませながら三本木さんを見送ります。
「まちなか活動プラン」発表は3月21日(月・祝)の公開プレゼンで!
クリエイターのみなさんはオンライン参加になりますが、プレゼンの様子は文化創造館でご覧いただけます(要申込)。
日時|2022年3月21日(月・祝)14:00〜16:30
会場|秋田市文化創造館 2階スタジオB
定員|25名
申込方法|電話(018-893-5656)または下記フォーム
https://forms.gle/NUT3yrhszs7VsbxZ8
【新型コロナウィルスの感染予防・拡大防止対策のお願い】
イベント参加の際には、次の事項についてご協力をお願いいたします。
・手指の消毒にご協力ください
・マスクの着用をお願いいたします
・咳エチケットにご協力ください
・発熱、咳込みなどの症状がある方は参加をお控えください。
お問い合わせ
秋田市文化創造館(担当:岩根・石山・藤本)
TEL::018-893-5656
E-Mail:program@akitacc.jp
〒010-0875 秋田県秋田市千秋明徳町3-16
開館時間:9:00〜21:00
休館日:火曜日(休日の場合は翌日)、12月29日〜1月3日