「SPACE LABO 2021」おおしまたくろうさん滞在レポート
2022.2.23
クリエイティブな視点でまちなかを活用するプランを考える公募「SPACE LABO 2021」。1月下旬から、二次審査を通過したクリエイター5名が秋田市中心市街地に滞在し、リサーチやワークショップなどの活動を行いました。今回はおおしまたくろうさんの滞在をレポートします。
クリエイターの皆さんは、この滞在での経験をふまえて「まちなか活動プラン」を作成。3月21日(月・祝)に開催の公開プレゼンを経て選ばれた1〜2名が、春以降にプランを実施します。
1月22日(土)
自作楽器「滑琴(かっきん)」を軸に、秋田のスケーター事情の調査や、生活圏内の音をターゲットに録音する「デイリーレコーディング」の活動、秋田版「ルート譜」(※)の作成を予定して始まった今回の滞在。「滑琴(かっきん)」とはスケートボードにエレキギターの弦・ピックアップを取り付けたもので、地形や道路の凹凸、滑り方によって、その土地特有の音を奏でることができます(おおしまさんは、それを「演走」と呼んでいます)。いろいろな奏法(走法)を身につけるにつれ、音のバリエーションも豊富になっていきます。滑琴を介することによって、目で見たり、ただ歩くこととは違った方法でまちの特徴を体感することができるのです。
(※)滑琴を用いた音楽作品における演奏者の走行ルートを記述した図形楽譜
まず午前中は館内で、これまでの活動をまとめたミニ展示の設置作業。定期的に発行しているフリーペーパーも館内で配布していました(あっという間になくなってしまいました)。午後からは秋田駅前を中心に散策へ。
大阪では商店街のスピーカーを使用してパフォーマンスをした経験もあり、公共空間に設置されているスピーカーに注目しながら歩きます。常用されているものは少ない印象。館に戻ってからは、滑琴の走行テストを行いました。
写真・映像をまとめたり、明日予定を立ててこの日は終了しました。
1月23日(日)
午前中は市内散策へ。まず文化創造館近くの楽器屋さんに立ち寄り、滑琴の弦を購入しました。その後は秋田駅前〜市民市場方面へ。以前秋田に来た時に末廣ラーメンのBGMがとても印象に残っていたそうで、念願(?)叶って再び聞くことができました。
市民市場は残念ながら休みでしたが、ここでもスピーカーを発見。案内サインの形がスケボーに見えてきました。市場の中の施設の案内チラシや、近くのあきた文学資料館にまつわる情報など、色々な掲示物がコラージュのように貼られている様子が印象的だったようです。
中央通り方面へぐるりと回り、文化創造館へ戻ります。
館に戻ってからは、交流会を行いました。まずは活動紹介から。おおしまさんの活動の基底に流れているのが、「ノイズ(雑音)」と「ユーモア」です。明瞭ではないもの、社会規範から外れたもの=ノイズを取り除くのではなく、そのまま生かすには・ノイズの面白みを伝えるにはどうすればよいのか。音楽・遊びやユーモアを介することによって、ノイズが取り除くべきものとしてではなく、世界の豊かさに読み替えることができるのではないか。
その後は滑琴に乗ってみたり、みなさんのオススメの場所・気になる道・冬でも滑琴を演走できそうな道などについて、たくさん教えていただきました。
1月24日(月)
午前中は文化創造館〜南通〜川反〜通町を散策しながら、ルート譜に盛り込む要素を検討します。ゆっくり歩いて1時間半程度。雪に足を取られて進みにくい場所もあり、1時間程度で回れるルートに短縮することにしました。
館に戻ってすぐルート譜の作成に取りかかり、午後からはついに滑琴の演走に向かいます。今までは作曲者と演走者の両方をおおしまさんが担っていたのですが、今回は第三者を介入させようと試みます。コーディネーターの島が、おおしまさんを追いかけ、おおしまさんの挙動を実況し録音することにしました。それがどのような効果を発揮したのか?きっと公開プレゼンで明かされることでしょう。
滑らない部分は楽譜で言う「休符」にあたるため、ずっと滑り続けているわけではありません。まちかどのスピーカーから流れるBGMに耳を澄ませたり、看板を見に行ったり、路上観察的な側面が強くなったと振り返っていました。
冬場の雪は見慣れた光景だけれど、一方で「ノイズ」だと捉えることもできる。雪を踏みしめた獣道があったり、普段は通らないルートを通ることにもなったりと、雪によって道路の境界が曖昧になることで、普段のルールもまた曖昧になることに気づいたと言います。
“ルート譜を作曲する時は、レコードの溝を擦る(スクラッチする)ように、路地を何度も散歩することで街に対する解像度を上げていく感覚を大切にしています。今回は短期滞在ということで、普段に比べるとスクラッチが足りなかったので、一部ルート(秋田県立美術館周辺)が未完成のまま演走することになりましたが、即興演走のパートを指示するなど、以前のルート譜に比べて演走者の自由度が高い抽象的でグラフィカルなルート譜になったと思います。(おおしま)”
1月25日(火)
滞在最終日。文化創造館が休館日のため、日曜の交流会でみなさんからオススメしてもらった場所に足を伸ばします。城東十字路の広くて少し複雑な地下道や、スケボーの屋内ランプ、寺町通りの路地を巡りました。
「まちなか活動プラン」発表は3月21日(月・祝)の公開プレゼンで!
クリエイターのみなさんはオンライン参加になりますが、プレゼンの様子は文化創造館でご覧いただけます(要申込)。
日時|2022年3月21日(月・祝)14:00〜16:30
会場|秋田市文化創造館 2階スタジオB
定員|25名
申込方法|電話(018-893-5656)または下記フォーム
https://forms.gle/NUT3yrhszs7VsbxZ8
【新型コロナウィルスの感染予防・拡大防止対策のお願い】
イベント参加の際には、次の事項についてご協力をお願いいたします。
・手指の消毒にご協力ください
・マスクの着用をお願いいたします
・咳エチケットにご協力ください
・発熱、咳込みなどの症状がある方は参加をお控えください。
お問い合わせ
秋田市文化創造館(担当:岩根・石山・藤本)
TEL::018-893-5656
E-Mail:program@akitacc.jp
〒010-0875 秋田県秋田市千秋明徳町3-16
開館時間:9:00〜21:00
休館日:火曜日(休日の場合は翌日)、12月29日〜1月3日