【緊急開催】クロストーク
「工芸と天災」—能登半島輪島市の現状報告と、天災後に作家が何をできるか考える。
赤木明登(輪島塗)+攝津広紀(川連塗)+
佐藤祐輔(新政酒造)+石倉敏明(芸術人類学)+田村一(陶芸)
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過去最大級の地震が元旦の能登半島を襲いました。 今回登壇いただく赤木明登さんは輪島在住の漆芸家。日本の工芸を牽引する方でもあります。もちろん赤木さんの活動する輪島を取り巻く環境は1月1日を境に大きく変化しました。 今回その輪島や能登の現状を赤木さんに話していただく機会を設けました。輪島塗や能登半島の被害について、今後の展望や支援のあり方をお話しできたらと思います。 日本列島は過去幾多の天災に見舞われてきました。自分が過ごした益子焼も関東大震災や311を無視しては語れない歴史があります。それでも我々はその都度立ち直ってきました。工芸もそうです。
ゲストの皆さんとは工芸と災害の関わり方、今後工芸が果たすべき役割を語れたらと思っております。 よろしくお願いいたします。
辺境地点・田村一
Profile
赤木明登:
塗師。1962年岡山県生まれ。編集者を経て、1988年に輪島へ。輪島塗の下地職人・岡本進のもとで修業、1994年独立。以後、輪島でうつわを作り各地で個展を開く。「写し」の手法を用い、古作の器を咀嚼した上で造形と質感を追求して作る器は、洗練されていながら素朴な暖かみを持つ。著書などを通じ普段の暮らしに漆器を使うことを積極的に提案している。著書に『美しいもの』『名前のない道』『二十一世紀民藝』など。新刊『工藝とは何か』が3月10日発売予定。https://www.sekkousm.com/
攝津広紀:
蒔絵師。1969年秋田県湯沢市生まれ。石川県輪島で技術を習得。1993年金沢にて加賀蒔絵、金沢仏壇蒔絵を学ぶ。1999年秋田に帰省し、蒔絵師の三代目として家業を継ぐ。自ら素地、塗りも手掛ける作品作りも始める。800年の歴史ある漆器の産地「川連」にて「漆工房攝津」を営む。2008年全国漆器展経済産業大臣賞受賞。以後、経済産業省製造産業局長賞、日本漆器協同組合連合会理事長。若手職人5人で「漆人五人衆」を結成し、秋田、仙台、東京など各地でグループ展を開催。
佐藤祐輔:
新政酒造株式会社代表取締役。1974年秋田県生まれ。東京大学文学部英語英米文学科卒業後、ジャーナリストとして活動。2007年に家業である嘉永5年(1852)創業の酒蔵「新政酒造」に入社。自然の生態系、農業、醸造の有機的なつながりを求め「秋田県産米を、生酛・純米造り・木桶仕込みにより、当蔵発祥の六号酵母によって醸す」という哲学のもと農薬や科学肥料に頼らない酒米の栽培も手掛け、地域性を尊びながら本来の日本酒の姿を求めて様々なチャレンジを続けている 。
石倉敏明:
芸術人類学者。1974年東京都生まれ。秋田公立美術大学「アーツ & ルーツ専攻」准教授。シッキム、ダージリン、カトマンドゥ、東日本等でフィールド調査を行ったあと、環太平洋地域の比較神話学や非人間種のイメージをめぐる芸術人類学的研究を行う。美術作家、音楽家らとの共同制作活動も行ってきた。2019 年第 58 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際芸術祭の日本館展示「Cosmo-Eggs 宇宙の卵」に参加。共著に『野生めぐり 列島神話をめぐる 12 の旅』『Lexicon 現代人類学』など。
田村一:
陶芸家。1973年秋田県生まれ。早稲田大学大学院修了後、東京で作家活動を開始。2002年に栃木県益子町に拠点を移し制作。2011年より秋田県に戻り太平山の麓の工房で作陶に励みながら、「ココラボラトリー」(秋田)「白白庵 」(東京)などでの個展や、グループ展で作品を発表している。九州・天草の陶土を使用し、近年ではグレーの粘土や信楽の透光性のある土「透土」もブレンド。中国古陶の青磁や現代作家の青白磁に影響を受け、ガス窯を還元焼成で焚く。
ポスターデザイン:田部井美奈