秋田市文化創造館

イベント・プロジェクト

5つのトーク 秋田京都惑星特急便
〈学びのためのディープタイム(深い時間)〉

京都芸術大学大学院写真・映像領域(伊藤俊治教授)によるエクスカーション形式の授業を、秋田市文化創造館で特別無料公開します。

2024年は、秋田をフィールドに選び、松尾芭蕉の『奥の細道』、柳田國男と三木茂の『雪国の民俗』、木村伊兵衛『秋田』、岡本太郎の「秋田探訪」、土方巽と石井漠、勝平得之「秋田12景」、藤田嗣治の壁画「秋田の行事」、伊藤俊治と石川直樹の新刊『秋田—環日本海文明への扉』などの現場を調査し、ブルーノ・タウトや菅江真澄、白井晟一やシャルロット・ペリアンらの見た秋田を想いながら、風土と写真の関係について探究します。現代のアーティストの話題も盛り込んだ、秋田の魅力にまつわるレクチャーです。

5つのトーク
秋田京都惑星特急便〈学びのためのディープタイム(深い時間)〉
伊藤俊治(美術史家、京都芸術大学大学院教授)
石川直樹(写真家)
石倉敏明(芸術人類学者、秋田公立美術大学准教授)
山川冬樹(美術家、ホーメイ歌手、秋田公立美術大学准教授)
熊谷新子(編集者、秋田市文化創造館職員)

タイムスケジュール
13:00-13:45 「秋田と芸術創造の未来―編集者の視点で」熊谷新子
13 :45-14:30「風土と身体―土方巽と石井漠、二人の舞踏家を中心に」山川冬樹
(休憩)
15:15-16:00「異種と共に生きる想像力―秋田・北東北の事例から―」石倉敏明
16:00-17:15「秋田原郷/異境―地域研究と惑星思考―」石川直樹×伊藤俊治
17:15-18:00「登壇者全員によるトークセッション」

日時:2024年10月26日(土)13:00-18:00(45分の休憩あり)
場所:秋田市文化創造館2階 スタジオA1
参加費:無料 要予約(先着順)
予約方法:下記のフォーム、電話(018-893-6424)
主催:京都芸術大学 共催:秋田市文化創造館
※託児サービスを受け付けます。(申し込み締め切り:10月16日、対象:生後4ヶ月〜就学前)
※トーク内容を字幕化し投影します。

鳥海山様 ©️石川直樹
森子大物忌神社 ©️石川直樹

●当日は、新刊『秋田―環日本海文明への扉』(文=伊藤俊治、写真=石川直樹、亜紀書房)の販売とサイン会も予定されています。

仕様:A5版/ソフトカバー/385頁
予価:3800円+税
発売:2024年10月19日予定


Profile

伊藤俊治(美術史家、京都芸術大学大学院教授)

1953年秋田県生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学大学院人文科学研究科美術史専攻修士課程修了。専門の美術史・写真史の枠を越え、アートとサイエンス、テクノロジーが交差する視点から多角的な評論活動を行なう。
主な著書に、『20世紀写真史』(筑摩書房、1988年)、『20世紀イメージ考古学』(朝日新聞社、1992)、『バリ島芸術をつくった男 – ヴァルター・シュピースの魔術的人生』(平凡社、2002年)。
芸術、教育、社会活動に多数取り組み、異業種交流のデザインネットワークである東京クリエイティブの設立企画運営、異文化融合と共同創造の実践的教育機関である大阪インターメディウム研究所の企画運営、都市創造型のワークショップスタジオ/東京アート&アーキテクチュア&デザイン(ADD)スタジオのディレクション、国際交流基金国際展委員、文化庁芸術文化振興基金審査委員、東京都写真美術館企画運営委員、川崎市民ミュージアム収集委員、相模原市写真芸術祭特別運営委員、彩都国際文化都市企画委員、読売新聞読書委員、NTTインターコミュニケーション・センター・コミッティ、大阪インターメディウム研究所講座統括ディレクター、東京ADDスタジオのディレクター、2005年日本万国博覧会デザイン委員会委員長などをつとめる。

石川直樹(写真家)

1977年東京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。
2008年『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により日本写真協会賞新人賞、講談社出版文化賞。2011年『CORONA』(青土社)により土門拳賞。2020年『EVEREST』(CCCメディアハウス)、『まれびと』(小学館)により日本写真協会賞作家賞を受賞した。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)、『地上に星座をつくる』(新潮社)ほか。
主な個展に『JAPONÉSIA』ジャパンハウス サンパウロ、オスカーニーマイヤー美術館(ブラジル/2020-2021)。『この星の光の地図を写す』水戸芸術館、新潟市美術館、市原湖畔美術館、高知県立美術館、北九州市立美術館、東京オペラシティアートギャラリー(2016-2019)。『K2』CHANEL NEXUS HALL(東京/2015)、『ARCHIPELAGO』沖縄県立美術館(沖縄/2010)など。作品は、東京都現代美術館、東京都写真美術館、横浜美術館、沖縄県立美術館等に収蔵。最新刊に『Kangchenjunga』(POST-FAKE)、『Manaslu 2022 edition』(SLANT)など。

石倉敏明(芸術人類学者、秋田公立美術大学准教授)

1974年東京生まれ。シッキム、ダージリン、ネパール、東北日本等でのフィールド調査、環太平洋の比較神話学や複数種をめぐる芸術人類学の研究、アーティストとの協働制作や展覧会企画協力を行う。多摩美術大学芸術人類学研究所助手、明治大学野生の科学研究所研究員を経て現職。2019年、第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際芸術祭日本館展示「Cosmo-Eggs | 宇宙の卵」に参加。著書に『Lexicon 現代人類学』(奥野克巳との共著・以文社)、『野生めぐり 列島神話の源流に触れる12の旅』(田附勝との共著・淡交社)、『人と動物の人類学』(共著・春風社)、『タイ・レイ・タイ・リオ紬記』(高木正勝CD附属神話集・エピファニーワークス)、『モア・ザン・ヒューマン マルチスピーシーズ人類学と環境人文学』(以文社)など。国際芸術祭「あいち2025」のキュレトリアルアドバイザー(現代美術)をつとめる。

山川冬樹(美術家、ホーメイ歌手、秋田公立美術大学准教授)

自らの声・身体を媒体に視覚、聴覚、皮膚感覚に訴えかける表現で、音楽/現代美術/舞台芸術の境界を超えて活動。己の身体をテクノロジーによって音や光に拡張するパフォーマンスや、南シベリアの伝統歌唱「ホーメイ」を得意とし、これまでに16カ国で公演を行う。現代美術の分野では、マスメディアと個人をめぐる記憶を扱ったインスタレーション『The Voice-over』(1997〜2008/東京都現代美術館蔵)、「パ」という音節の所有権を、一人のアートコレクターに100万円で販売することで成立するパフォーマンス『「パ」日誌メント』(2011~現在)などを発表。
ハンセン病療養所(瀬戸内国際芸術祭/大島青松園)や帰還困難区域(Don’t Follow The Wind展/グランギニョル未来のメンバーとして)での長期的な取り組みもある。

熊谷新子(編集者、秋田市文化創造館職員)

1974年秋田県生まれ。立教大学文学部日本文学科卒業、同大学院日本文学専攻修士課程修了。修論は太宰治『斜陽』がテーマ。2000年出版社リトルモアに入社し、広報、書店営業を経て、編集者として文芸、写真、絵本、料理、ファッションの分野で100冊ほどを手がけた。2008年〜2011年、写真や絵、デザインとともに文芸を楽しむ雑誌「真夜中」編集長をつとめた。展覧会と連動した企画も多い。また担当した最果タヒの詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』は映画化された。
2020年に帰郷し、NPO法人アーツセンターあきたに所属。秋田市文化創造館の印刷物の編集、「まれびと/風土/日本海」(石川直樹×伊藤俊治)、「工芸と天災」(赤木明登×攝津広紀×佐藤祐輔×石倉敏明×田村一)、「地図と熊と美術館」(鴻池朋子×奥脇嵩大)などのイベントを通じ、つくる営みの魅力を学び、県内外に広く深く伝えたいと奮闘している。ウェブサイト連載「あこがれのひと」など、インタビュー記事を執筆するようにもなった。2022年7月より2年間「秋田魁新報」にて月一度の特別企画「ハラカラ—同胞」面を編集・制作し総勢80人ほどが紙面に登場、また個人のレーベル sou nice publishing 名義では『一等星の詩』を刊行するなど、これまで多彩な作家と出会ってきた。故郷に戻り一番感動したのは日本酒の味。

ポスターデザイン:田部井美奈