秋田市文化創造館パートナー2021
2021年度、秋田市文化創造館は
7組のパートナーと一緒に活動を行っています。
パートナーとは、書類・プレゼンテーション審査を経た
「秋田のまちをおもしろくする企画」を実践する団体。
主婦、会社員、学生、自営業など
さまざまな立場の人たちが、
スタッフ(前田優子、齊藤夏帆、島崇)と
一緒に企画を磨き上げています。
日々どんな活動を行っているのか紹介します。
05 アンリミテッドカラー
5組目のパートナーは、「アンリミテッドカラー」。リーダーのmasaさん(ギター)、namiさん(ボーカル)、kaoriさん(キーボード)の3人で、秋田県内でライブなどの音楽活動を行なっています。
今年、秋田市文化創造館のパートナー事業として実践しているのが、「ふるさとインタビュー」。自身で作曲した『ふるさと』をBGMに、秋田で暮らす人へのインタビュー映像を制作しています。
「あなたの故郷はどこですか? 自己PRと一緒に教えてください」と問うインタビューを、これまで約30組、YouTubeに公開してきました。
どんな思いでインタビューや映像制作をしているのか、3人に聞きました。
映像制作のきっかけ
masa ギターには小学生のときに出会い、音楽活動はずっと続けてきたのですが、YouTubeが盛んになって、数年前に「これからは音と映像だな」と独学で映像配信を始めてみることにしました。コロナウイルスが流行る少し前のことです。
nami 最初は室内でカバー曲を歌う様子を撮影していたのですが、毎回同じような映像になってしまうので、外での撮影を始めて。
masa 外で撮るなら、秋田のきれいな景色と歌で、何か表現できないかなと思うようになったんだよね。
kaori まずはメンバー3人の地元(秋田市、五城目町、にかほ市)で撮影をしました。名所に行ったり、名物を食べて、秋田を知らない人にもこういうところがあるよと知ってもらえたらなって。
masa 身近にあると通り過ぎてしまいますが、映像を撮ろうと思ってじっくり見てみると、秋田にはいいところがいっぱいあるんだなということに気がつきましたね。
kaori 私は秋田市出身ですが、リーダー(masaさん)の出身地であるにかほ市へは、映像を撮るまで行ったことがなくて。とてもいいところでした。
nami 私の住んでいる五城目町では、「ネコバリ岩」というパワースポットを撮影したのですが、自宅から車で30分の場所にあるのに、行ったのは小学生以来でした。名物の「だまこなべ」も撮ったのですが、地元にいるとお店で食べることがないので、新鮮に感じて。
秋田に気軽に帰って来られない方たちにも見ていただけたらと思って、今は撮影しています。
パートナー事業との出会い
masa パートナー事業のことは、市役所に配架されていたチラシで知りました。
kaori 音楽室や調理室が市役所にあって、登録すると無料で借りられるんです。その日も音楽室でバンド練習をしていました。
masa 「秋田のまちなかをおもしろくする活動の企画、募集中」と書かれたチラシを見つけて、見た瞬間に「応募しようよ」って言ったんだよね。
kaori 最初は正直、不安でした。「なんでも大丈夫」と書かれているので、具体的なことがわからなくて。でもリーダーは「やろうよ、やろうよ」ってずっと言っていたよね。
masa 「音楽や映像で何かできるのでは」と、直感で思ったんですよね。チラシに「わからないことがあればカルチャカイに参加してみてください」と書いてあったので、namiさんと行ってみました。
nami カルチャカイは、参加者がやってみたいことをそれぞれ発表するような会だったのですが、難しいなと感じる企画もあれば、誰にでもわかるような簡単で楽しそうなイベントを考えている人、日頃の活動を宣伝したい人もいて、「人それぞれでいいんだ、自分の中にあるものをただ出せばいいんだ」と思わせてくれました。
masa 文化創造館 館長の藤さんが、会のナビゲーターをされていたのですが、「誰とやるかが一番大事」とおっしゃっていて、その言葉がすごく心に残りました。
nami この3人も、ゆるりと同じ方向に進んで、何かあるときはギュッと団結するんです。この3人で集まって活動できているのは、すごく不思議なことで、この3人で何かできたらなと思って、応募を決めました。
パートナー事業を経ての変化
島(スタッフ) プレゼンテーションでは、風景を中心に秋田の魅力を伝える映像をつくる企画を発表していましたね。パートナーになってから企画内容が少しづつ変化してきました。
nami 風景ではなく、インタビュー映像を撮影してみることになりました。まちの魅力を伝えるためには、身近な人の言葉を聞いてみることが大切だと思ったんです。
島(スタッフ) どうしたらインタビューされる人が話しやすくなるかを考えて、誰にでもあるであろう「ふるさと」について話してもらうのはどうだろうかというアイデアが出ましたね。
masa そのころちょうど『ふるさと』という曲ができたときだったんです。
kaori 『アンリミTVミュージックチャンネル』で配信している映像では、「秋田をイメージする曲」として、高橋優さんの『明日はきっといい日になる』を使わせていただいていたのですが、「自分たちでもふるさとを思い起こせるような曲をつくりたいね」と取り組んでいて。
masa いろんな人のふるさとを聞いて、『ふるさと』という曲も育てていきたいと思いました。
「ふるさと」って、いろいろあると思うんです。食べ物だったり、地名だったり、思いだったり。
島(スタッフ) ふるさと像は、多様なほうが僕もおもしろいなと思っています。必ずしも美しいものとか良きものではない、いろんなものが出てきていますよね。
kaori インタビューでは、その人の「ふるさと」が、活動の原点になっている方が多いので、誰にとっても大きい存在なのかなとは、話を聞けば聞くほど思うようになりました。
nami 「ふるさと」を、生まれたところだと思っていない人もいて、大事な人だったり、自分の活動するところだったり、そういう考え方もあるんだなという気づきにもなりました。
企画はずっと更新中。答えは無限
masa 最初は100人にインタビューするという目標を立てたのですが、実際始めてみたら、ひとりひとりの話をもっと聞きたいと思うようになりました。
kaori 数よりも、出演してくれる人の魅力や活動を伝えられる映像をつくりたいってより思うようになりましたね。
nami 「俺、普通の、ただの人だよ」と言って、インタビューを受けてもらえないこともあります。でも、何かやっていて、ここで伝えたいことがある人“以外”の人も、いろんなことを考えて日々活動していると思うので、そういう人の言葉も拾えたらなと思っています。
島(スタッフ) アンリミテッドカラーのみなさんは、パートナー事業を行いながら、企画を育てているというか更新していますよね。
masa 最初のミーティングで、島さんが「答えを見つけない方がいい。型にはめない方がいい」って言ってくれて、その言葉も心に残っています。変化していく方がいいのかなって。ゴールが見えているとおもしろくないというか、ただの作業になってしまうと思うので。
nami 「変化していい」というのも、パートナー事業のいいところだなと思いました。プレゼンで発表したからといって、その企画をそのまま実行しなくてもいい。
kaori 今まで知らなかった世界をすごく知った気もしています。ほかのパートナー団体のみなさんも、今まで活動されてきているけれど、自分たちの目には入ってきませんでした。今回インタビューをすることができて、こういう活動や考えもあるんだってすごく勉強になりました。
masa 「アンリミテッド」は、「無限の」という意味で、「カラー」は「色」と思われると思いますが、「音」という訳もあります。パソコンで音をつくっているのですが、いろんな音色を表現できるんですね。無限の音をつくっている。そこから転じて、いろんなことができるという思いで名付けました。
島(スタッフ) 「ふるさとインタビュー」をするにあたって、「自分の考えを押し付けたくない」ってリーダーが言っていたんですよね。無限の音というか、いろんな人々の音とか言葉を音楽に取り込んでいって、それを自分たちの表現としていくということが、活動の根本にあるのだなと思います。
masa 「ふるさとインタビュー」も、いろんな可能性があって、ふるさとの答えもなくて、たぶん無限なんですよ。アンリミテッドカラーなんだと思います。
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2021年12月25日(土)には、文化創造館2FスタジオA1で、「ふるさとインタビュー2021」の集大成となるイベント「ふるさと秋田 クリスマスフェスタ2021」の開催が決定。
アンリミテッドカラーがインタビューで出会った人たちが、文化創造館に集結します。
歌やピアノ、フルートによるライブパフォーマンスのほか、コーヒーやハンドメイド雑貨、占い、整体など、多彩なジャンルの出店を予定。にぎやかな1日となりそうです。
(取材:佐藤春菜 撮影:秋田市文化創造館)
information
秋田市文化創造館パートナー2021
05 アンリミテッドカラー
活動内容
●ふるさとインタビュー2021(動画配信) |
あなたの自己PRと故郷を教えてください |
●ふるさと秋田 クリスマスフェスタ2021 |
日時 2021年12月25日(土)11:00-16:00 |
会場 秋田市文化創造館2F スタジオA1 |
web https://akitacc.jp/event-project/211225/ |